2013年6月7日金曜日

「三鷹光器㈱」を見る

「たまの力 ~多摩ブルー・グリーン倶楽部会員企業のNEXT STAGE~」 の取材のために,平成25年6月6日(木)の午前は,東京都三鷹市にある  「三鷹光器株式会社」  を訪問しました.以下,「である」調で書かせていただきます.

 三鷹光器株式会社は,1966年(昭和41年)に創立して以来,常に創造と信頼をテーマに歩み続けてきた.創業以来,宇宙観測機器の設計製作において培い続けてきた技術力を生かして開発された,高精度天体望遠鏡,光学測定装置,医療機器等の機器は,各界のユーザーに高く評価されている.

 創業以来,宇宙観測機器の分野で文部省宇宙科学研究所の観測プロジェクトに参加するなど,X線天文学分野における貢献度は極めて大きい.1983年(昭和58年)には,宇宙科学研究所のSEPAC計画に参加,大手テレビ製造企業を押さえ,アメリカ航空宇宙局(NASA)は三鷹光器の特殊カメラをスペースシャトル・コロンビアに搭載することを決めた.最近では,2007年に打ち上げられた宇宙航空研究開発機構 (JAXA)の月周回衛星「かぐや」に搭載された超高層大気プラズマイメージャーとプラズマ観測装置観測機器の製作に携わった.
スペースシャトル・コロンビアに搭載された高感度カメラ

 宇宙開発機器の技術を産業界に応用して,各業界の原器になったとも言える精密機器を製作してきた.中でも,レーザオートフォーカスを用いた非接触三次元測定装置は,国内の半導体産業や超精密加工分野に広く普及しており,日本の測定技術として 「ISO-25178(三次元形状・表面の粗さの国際規格)」 に 「ポイントオートフォーカス法」 と命名され,登録されている.
学会で知らない人はいない「非接触測定機器」

 1988年(昭和63年)からは医療機器業界にも進出しており,手術用顕微鏡や手術支援装置など付加価値の高い優れた製品を提供している.デットスペースであるドクターの背後から顕微鏡が来るオーバーヘットポジションスタンドを開発.ワンタッチでバランスをとるオートバランスシステムや,3秒でランプを交換出来るダブルキセノン等も開発.ライカマイクロシステムズとの提携も実現し,世界に向けて販売を展開している.2005年(平成17年)には,「フローレッセンス顕微鏡」 を開発.これまで見えなかった実像としての腫瘍と健常部位との境界を,蛍光物質で腫瘍を光らせることにより,腫瘍との境界を把握しがら手術できるようになった.採り残しのない癌手術の可能性に朗報をもたらしている.
手術用顕微鏡の試作機だそうです.
驚くほど軽く,片手でも操作することができる.
右がハイビジョン立体視ビューアー
ライカマイクロシステムズへ供給される手術用顕微鏡

 多数の鏡を放射状に並べて太陽光線を一点に集め,強力なエネルギーを作り出す 「ビームダウン式太陽熱集光装置」 と,これを利用した 「海水淡水化装置・外燃式発電装置」 を考案,太陽熱による新エネルギーの実験を進めている.2012年(平成24年)に宮崎大学に設置された装置は,ビームダウン式としては国内最大級であり,世界最高レベルの集光度を誇る.この装置で高密度に集光された太陽光を熱に転換することで高温が得られることから,太陽炉で太陽電池の原料となる金属シリコンを製造する研究や,太陽熱による水素製造に関する新潟大学との共同研究などが計画されている.

600平方ミリメートルの範囲を10ナノメートルの精度で測定できる

よく手入れされた汎用機が整然と並ぶ機械加工場

 これからの三鷹光器は,三本立てでやっていくとのこと.基本は天文機器であるが,①三次元測定器は,これからは世界展開を目指す.②医療機器は,「見えない世界から見える世界へ」三鷹光器の新しき3Dビジョンを伸ばしていく.③エネルギー関係は,太陽熱を利用したマグネシウム燃料電池の製造,そして,それを利用した太陽熱蓄熱システムによる環境にやさしいビニールハウスなど,近代的な農業の実現を目指すということだ.

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