2011年10月13日木曜日

JSME RC249 第9回研究分科会

を幹事として運営するために,2011年10月13日木曜日の午後は,群馬県の「NSKプレシジョン㈱ 精機技術センター」に行ってきました.NSKといえば,暮らしを,時代を,世界を動かすモノたちを支える「回転」を,摩擦をコントロールし,動力を滑らかに伝えることで,人々の生活をダイナミックに支えつづけるベアリング(軸受)を主力製品としているメーカーです.この分科会で議論している多軸多機能工作機械も,たくさんの高性能ベアリングやボールねじを採用しています.そのため,企業からの参加者が多く,大変な盛会となりました.
 提供された話題の中では,精度を高めるためにナット部分を冷却するボールねじに興味を持ちました.自分の生産システムの講義でも,工作機械の運動精度を高めるための技術として,軸心を冷却するボールねじについては紹介してきましたが,ナット部分を冷却するボールねじを初めて知りました.客観的に見れば,ねじ全体を冷却した方が効果があるような気がしますが,ナットだけを冷却した場合でも,軸心冷却と同等の冷却効果があるとのこと.考えてみれば,発熱はねじとナットの摩擦が原因なのですから,ねじを冷やして効果があるならば,ナットを冷やしても効果があるのは,当たり前なのかも知れませんね.このボールねじについては,講義でも紹介したいと思います.
 自動車に使われるベアリングは,厳しい品質保証が求められる安全部品です.工作機械をはじめ,産業機械で使用されるボールねじも,非常に高い精度が要求されます.個人的には,ベアリングやボールねじは,国内での生産が継続できる数少ない高付加価値製品だと思ってきました.しかし,これらの製品の生産拠点も,来年度までに九州や中国の瀋陽へ移すことになっているそうです.今後,国内生産が維持できる工業製品はあるのでしょうか?寒い時代になったものです.

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